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審査請求・再調査の請求・再審査請求の使い分け|2つは法律に定めがあるときだけ

行政不服審査法に入ると、「審査請求」「再調査の請求」「再審査請求」という似た名前が3つ並びます。名前が似ているうえに、どれをいつ使えるのかが教科書では簡単にしか触れられていないことが多い場所です。

ここは、条文を1つ押さえるだけで整理がつきます。再調査の請求と再審査請求は、法律にその定めがあるときにしかできません。審査請求だけが原則としてできる手続で、あとの2つは例外的に用意されているものです。

先に結論

  1. 審査請求が原則。処分に不服がある者はできる(行審法2条)
  2. 再調査の請求は「法律に定めがあるとき」だけ。相手は処分庁(同5条1項)
  3. 再審査請求も「法律に定めがあるとき」だけ。審査請求の裁決に不服がある場合(同6条1項)
  4. 再調査の請求をしたら、その決定を経た後でなければ審査請求できないのが原則(同5条2項)
  5. 期間は知った日の翌日から起算して3月/処分の日の翌日から起算して1年(同18条)

運営している2人はどちらも2026年度の受験生で、まだ合格していません。条文はe-Gov法令検索で現物を確認しています。記事中の学習記録は、断りのない限り直野のものです。

3つの関係を、条文で押さえる

まず、それぞれの根拠条文を並べます。読むべきは「どういうときにできるのか」の部分だけです。

行政不服審査法 第2条(処分についての審査請求)

行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。

行政不服審査法 第5条第1項(再調査の請求)

行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。

行政不服審査法 第6条第1項(再審査請求)

行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。

5条と6条には、どちらにも「法律に……定めがあるとき」という条件が入っています。2条にはこれがありません。ここが3つを分ける一本目の線です。

審査請求再調査の請求再審査請求
できる場合原則としてできる法律に定めがあるとき法律に定めがあるとき
相手原則は最上級行政庁処分庁法律が定める行政庁
対象処分処分原裁決または処分
いつ処分のあと処分のあと審査請求の裁決のあと

再調査の請求は「先に処分庁へ」

再調査の請求の相手は処分庁です。上級庁へ持っていく前に、処分をした役所そのものにもう一度見直してもらう手続、という位置づけになります。

そして5条2項が、順番を決めています。

行政不服審査法 第5条第2項

前項本文の規定により再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

再調査の請求を選んだら、その決定が出るまで審査請求へ進めないのが原則です。ただし、5条1項ただし書のとおり先に審査請求をしてしまった場合は、もう再調査の請求はできません。どちらを先に出すかで、その後の道が変わります。

再審査請求は「裁決に対して」

再審査請求だけは、出てくる場面が1つ後ろです。処分に対してではなく、審査請求の裁決に不服がある場合に使います。

注意したいのは対象です。6条2項は、再審査請求を「原裁決又は当該処分」を対象としてするものと定めています。裁決だけでなく、もとの処分も対象にできます。

期間は「翌日から起算して」

行政不服審査法 第18条(審査請求期間)

1 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

覚えるのは3つの数字です。知った日の翌日から3月、処分の日の翌日から1年、再調査の決定を知った日の翌日から1月。

そして両方に「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」が付いています。期間を過ぎたら一律に不可、という書き方ではありません。ここは正誤問題で外しやすいところだと思います。

郵送の日数は数えない

18条3項に、審査請求書を郵便や信書便で提出した場合、送付に要した日数は期間の計算に算入しないと定められています。細かいところですが、条文に明記されています。

確認

設問1

処分に不服がある者は、法律に特別の定めがなくても、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。

答え誤り。再調査の請求は法律に定めがあるときに限られる(5条1項)。

※本試験問題をそのまま掲載することはせず、論点を再構成した独自の設問にしています。

設問2

再調査の請求をした者は、その決定を待たずに、いつでも審査請求をすることができる。

答え誤り。5条2項本文は「決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない」としている(ただし書の例外はある)。

設問3

再審査請求は、審査請求の裁決のみを対象としてすることができ、もとの処分を対象とすることはできない。

答え誤り。6条2項は「原裁決又は当該処分」を対象とすると定めている。

この論点での、直野の現在地

肢別では、この3つの使い分けは「審査請求以外の不服申立」10問に入っています。行政不服審査法73問のなかでは小さい節です。

節問題数実施日理解度
総則3問6/23 → 6/23 → 6/27なんとなく
審査請求56問6/23 → 6/23 → 6/24 → 6/25 → 6/26理解した
審査請求以外の不服申立10問6/25 → 6/26 → 6/27 → 6/29 → 7/23理解した
教示4問6/25 → 6/26 → 6/27 → 6/29 → 7/23理解した

行政不服審査法は、直野の記録のなかでいちばん回した章です。73問中70問が「理解した」まで来ていて、多くの節を5回ずつ回しています。6月末に4回、そこから1か月近く空けて7月23日にもう1回、という形です。

ただし、この10問はもともと薄い節です。3つの使い分けだけなら「法律に定めがあるときだけ」という一点に集約されるので、条文の形さえ押さえれば片が付きます。逆に、そこを外すと3つとも混ざります。

まとめ

3つを分ける線は「法律に定めがあるかどうか」です。審査請求は原則としてできますが、再調査の請求と再審査請求は、法律にその定めがあるときにしか使えません。

相手と場面も違います。再調査の請求は処分庁に対して処分のあとに、再審査請求は審査請求の裁決のあとに、原裁決またはもとの処分を対象として行います。そして再調査の請求を選んだら、その決定を経るまで審査請求へは進めません。

期間は知った日の翌日から起算して3月、処分の日の翌日から起算して1年。どちらにも「正当な理由があるときは、この限りでない」が付いています。

同じ行政法の手続まわりは審査基準と処分基準は何が違うかと聴聞と弁明の機会の付与に書きました。行政法全体の位置づけは180点をどこで取るか、学習順は独学ロードマップにまとめています。

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ご確認ください

本記事は2026年8月時点の学習記録で、行政書士試験の受験生が執筆したものです。有資格者による監修は受けていません。引用した条文はe-Gov法令検索で2026年8月に確認していますが、読みやすさのため一部を抜粋しています。正確な文言と各号の内容は必ず原文をご確認ください。掲載した設問は論点を再構成した独自のもので、本試験の出題を示すものではありません。試験の出題範囲・配点・実施要領は変更されることがあるため、受験にあたっては必ず一般財団法人行政書士試験研究センターの当年度の公式発表をご確認ください。本サイトは学習の補助を目的としており、個別の法律相談には応じられません。

本記事は執筆時点の法令・試験制度にもとづいています。法改正や制度変更が反映されていない場合がありますので、受験にあたっては必ず一般財団法人行政書士試験研究センターの公式発表をご確認ください。

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