独学でいちばん困るのは、分からないところを聞ける相手がいないことです。
教科書の解説を読んでも意味が取れない、問題集の解説が2行しかない。そこで止まっても誰にも聞けず、飛ばした穴は最後まで穴として残ります。予備校の価値の大きな部分は、たぶんここにあります。
私はここをAIで埋めているのですが、「AIに聞いています」とだけ書いても何も伝わらないと思うので、実際のプロンプトと、返ってきた内容と、それをどう扱っているかまで出します。
やっていること
- 使い方は2つ。分からない問題を投げる/自分の疑問を聞く
- 問題を投げるときのプロンプトは固定。毎回同じ文で聞く
- 聞いて終わりにせず、Notionのデータベースに貯める
- 条文と判例はAIの回答を根拠にしない。必ず現物を見る
私自身まだ2026年度の受験生で合格もしていないため、ここに書くのは正解ではなく、いま実際に回している使い方です。
使い方は2つある
1. 分からなかった問題を投げる
肢別を解いていると、解説を読んでも腑に落ちない問題が出てきます。そのときは問題文をそのまま貼って聞くのですが、プロンプトは毎回同じものを使っています。
いつも使っているプロンプト
以下は行政書士試験の問題です。
正誤判定と用語の意味を詳細に解説してください。
【 問題文 】
この2行を固定にしておくと、毎回考えずに済みます。「用語の意味を」と入れているのは、知らない言葉を飛ばさないためです。
たとえば、行政法でこういう肢に当たったとします。
設問
行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲を超え、またはその濫用があった場合に限り、裁判所はその処分を取り消すことができる。
答え正しい
※本試験問題をそのまま掲載することはせず、論点を再構成した独自の設問にしています。
返ってきたのは、こういう内容でした。
- 裁量処分とは、行政庁に判断の幅が認められている処分のこと。法律が「必ずこうしなさい」と決めている処分と対になる
- 範囲を超えとは、法律が認めた枠をはみ出すこと
- 濫用とは、枠には収まっているが、決め方や内容が著しくおかしいこと
- 裁判所がチェックできるのは「違法かどうか」だけ。行政が与えられた幅の中で決めたことには、口を出せない
- 逸脱や濫用があると「不当」を超えて「違法」になる。だから取り消せる
ここまでは条文を読むだけでは出てこない部分で、なぜ「限り」と書いてあるのかが分かると、条文が頭に残ります。さらに、こういう対比まで返ってきました。
| 裁判(行政事件訴訟) | 不服申立て(行政不服審査) | |
|---|---|---|
| 取り消せる理由 | 違法な処分に限る | 違法な処分 + 不当な処分も |
| 審査するのは | 裁判所 | 行政機関 |
私が引っかかっていたのはまさにここだったので、この対比を自分の言葉で一問一答にして、ノートに入れています。
2. 自分の疑問を聞く
もうひとつは、問題を解いていて浮かんだ疑問をそのままぶつける使い方です。
たとえば民法で「詐害行為取消権には2年・10年の期限があるのに、債権者代位権には期限がない」と知ったとき、なぜ片方だけ期限があるのかが気になりました。教科書には書いていません。そのまま聞いてみると、こういう説明が返ってきます。
返ってきた説明
詐害行為取消権は、すでに成立した取引を後からひっくり返す権利。買った側からすれば、何年も経ってから「あの売買はなし」と言われては困る。だから短い期限で区切っている。
債権者代位権は、債務者が使っていない権利を代わりに使うだけ。相手からすれば払う相手が変わるだけで、取引がひっくり返るわけではない。だから独自の期限がない。
「第三者がどれだけ困るか」という軸を1本もらうと、2年・10年という数字が丸暗記ではなくなります。この手の「なぜ」は、教科書にも問題集にも載っていないことが多いところです。
聞いて終わりにせず、貯める
ここが自分でいちばん効いていると思う部分で、やり取りをNotionのデータベースに入れています。分からなかった問題の解説と、分からなかった用語の解説。この2つを貯めていく形です。
チャットの履歴に残しておくだけだと探せないので、同じ論点でまた詰まったときに、前に聞いたはずのことをもう一度聞くことになってしまいます。
タイトルの付け方だけ決めている
あとから引けるかどうかは名前の付け方で決まるのですが、凝ったことはしていません。
| 種類 | タイトルの形 | 例 |
|---|---|---|
| 問題を投げたもの | 章・節+問題番号 | 物権・抵当権 問題10/債権・債権の消滅 問題12 |
| 疑問を聞いたもの | 疑問そのまま | 債権者代位権に期限のない理由/即時取得の存在意義 |
問題単位のものは問題集の章・節と番号をそのまま使います。肢別を回していて同じ問題でまた詰まったときに、番号で引けるからです。疑問のほうは、自分が思った言葉をそのままタイトルにしていて、「形成権とは」「同時履行の抗弁権の肯定・否定」といった具合になっています。
あとから読み返すのは、たいてい疑問のほうです。問題単位のものは1回で解決することが多いのに対して、「なぜそうなっているか」には何度も戻ることになります。
そして貯まってくると、自分がどこで詰まりやすいかが見えてきます。私の場合は、民法の当事者が複数出てくる論点と、行政法の「どちらの制度か」を問う論点に偏っていました。
鵜呑みにはしていません
ここは線を引いています。
条文から言えることと、そうでないこと
条文で確かめられることは、必ずe-Gov法令検索で現物を見ます。上の例でいえば「裁判所が取り消せるのは逸脱・濫用に限る」は行政事件訴訟法30条、「不服申立てなら不当も対象」は行政不服審査法1条にそのまま書いてあります。
「なぜそうなっているか」の説明は、条文には書いていません。理解の足場としては使いますが、根拠にはしません。
実際、間違いに近い説明が返ってきたこともあります。地方自治法の町村総会について「なぜ町村だけなのか」を聞いたとき、「議員のなり手不足への対応」という説明が出てきました。近年よく語られる文脈ではありますが、この制度は地方自治法の制定時からあるものなので、制定当時の趣旨とは限りません。
理解の助けとしては十分に機能しました。ただ、そのまま覚えてしまうと出典のない知識になります。
向いていること、向いていないこと
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 解説が短くて意味が取れない問題を噛み砕く | 条文の文言を確かめる(e-Govを見る) |
| 教科書に載っていない「なぜ」を埋める | 判例の結論を確認する(裁判所サイトを見る) |
| 似た制度を対比で整理する | 試験の日程や配点を調べる(試験センターを見る) |
| 知らない用語をその場で潰す | 出題予想や合格の可否を判断する |
ひとことで言えば、「分かるための道具」であって「確かめるための道具」ではないということです。確かめるほうは一次情報でやります。
まとめ
独学の最大の弱点は質問できる相手がいないことで、私はそこをAIで埋めています。
使い方は2つあって、分からなかった問題を固定のプロンプトで投げるのと、浮かんだ疑問をそのまま聞くのと。返ってきたものはNotionに貯めて、あとから論点名で引けるようにしています。
そして条文と判例は、AIの回答を根拠にしません。分かるために使い、確かめるためには使わない。この線を引いておかないと、出典のない知識が溜まっていきます。
勉強のやり方は肢別を何周しても忘れるなら、進捗の管理は進捗管理ボードをAIに作らせたにまとめています。
ご確認ください
本記事は2026年8月時点の学習記録で、行政書士試験の受験生が執筆したものです。有資格者による監修は受けていません。AIの回答は理解の補助として使っており、その内容の正確性を保証するものではありません。本文中で紹介した条文はe-Gov法令検索で2026年8月に確認しています。学習方法についても効果を保証するものではありません。試験の出題範囲・配点・実施要領は変更されることがあるため、受験にあたっては必ず一般財団法人行政書士試験研究センターの当年度の公式発表をご確認ください。本サイトは学習の補助を目的としており、個別の法律相談には応じられません。
